家庭での防災対策において、いざというときのためのお水の備え(備蓄水)は欠かせません。しかし、防災対策をするにあたって、実際にどれくらいの量が必要で、どのように保管すべきかわからない方も多いのではないでしょうか?この記事では、家庭での防災対策に必要な備蓄水の必要量や選び方のポイント、防災備蓄水の安全な保管方法や注意点を解説します。さらに、おすすめの災害時に役立つ水関連の防災グッズや、普段からの防災対策に取り組む方法についてもご紹介します。この記事を参考に家庭での防災対策を見直し、安心できる未来を築いていきましょう。
備蓄水の必要量は?
地震や津波などの災害時には、ライフラインが停止し利用することが困難になります。2024年1月に発生した能登半島地震では、断水が広範囲で発生し、復旧までに数ヶ月を要したのは記憶に新しいのではないでしょうか。ガスや電気はもちろん、私たちの命を守るために「水」は欠かせず、備蓄水として災害に備える必要があります。
この備蓄水は、飲料や調理などの「飲用」と、トイレや手洗い、洗濯などに使う「生活用水」に分けられます。備蓄水の適切な量を確保することは、避難生活を安全かつ快適に過ごすためにとても重要です。
備蓄水の必要量は一人当たり1日3L
備蓄水の必要量は、家族の人数や災害の種類によって変わります。一般的には、飲用として一人当たり1日に最低3Lの水が必要とされています。しかし、地震や洪水などの災害によっては水道が断水することもありますので、最低3日分、できれば7日分の水を備蓄することが推奨されています。したがって、一人当たり9Lを備蓄水として備えておくことで、いざというときお水に困らずに支援を待つことができます。
飲用として必要な3リットルのうち、
・1Lは飲料水
・2Lは飲料水以外(調理用)
とされています。3Lをベースに、乳幼児や高齢者がいるなどの家族構成や環境に合わせて、適切な備蓄水の量を考えましょう。
生活用水として必要な量は?
飲用以外にも、トイレや手洗いうがい、洗濯、体を清潔に保つためのお水など、「生活用水」の確保も必要です。生活用水には、一人当たり1日10〜20Lの水が必要と言われています。生活用水の備蓄はあればあるだけ良いとされていますが、これだけの量を日頃から人数分確保しておくのは難しいことも…。普段からお風呂のお水を貯めておく、ペットボトルやタンクに水道水を入れておくなど、生活用水の確保も心がけることが望ましいでしょう。
備蓄水選びのポイントは保存期間とおいしさ
備蓄水を選ぶ際のポイントは、「長期保存が可能」「おいしさと品質」の2つです。
備蓄水選びのポイント1|長期保存が可能かどうか
備蓄水として販売されているお水の保存期間は、5~15年ものが一般的です。500MLと2Lのペットボトルタイプのものが多く、保存期間や容量によって値段も変わります。小分けにされている500MLのペットボトルタイプの方が値段は高めになり、長期で保存できる備蓄水ほど価格は高めになりますが、そこまで価格に差はありません。
備蓄用としては、長期保存できるタイプ(目安は7年〜10年ぐらい)がおすすめです。保存期間が短いものだと、継続的な買い替えなどの手間がかかるので、期間が長めの備蓄水をストックしておくと良いでしょう。また、ご自宅の収納スペースや用途に応じて、500MLと2Lを使い分けて備蓄しておくことがおすすめで
す。
備蓄水選びのポイント2|おいしさと品質
災害備蓄用とはいえ水のおいしさも選ぶ際の重要なポイントです。避難時に飲みにくさを感じるお水だと、水分補給が億劫になってしまうこともあるので、最低限飲みやすいお水を備蓄するようにしましょう。おすすめは、清涼飲料水メーカーから出ている備蓄水です。タイプによっては保存期間が短めのものもあるので、ローリングストックを活用しながら、おいしさで備蓄水を選んでみるのも良いでしょう。
一般的なミネラルウォーターを備蓄水としている方もいると思いますが、実は備蓄水とミネラルウォーターの品質は同じになり、容器の構造の違いによって長期保存が可能になっています。容器が丈夫だと地震などで建物の下敷きになったとしても壊れずに使用できる可能性があります。
このように、災害備蓄用のお水として商品化されているお水は、保存期間や品質が安定しており衛生面でも安心できるので、おいしさと品質・管理の手間を考え、自分に合った備蓄水を選んでみてはいかがでしょうか。
長期保存や品質に注目!備蓄水選びチェックリスト
ご紹介した2つのポイントを踏まえて、以下の条件を満たす備蓄水を実際に選んでみてくださいね。
- 長期保存可能で、天然ミネラルを含むおいしい水
- 厳格な管理体制で品質を確保している水
- 容器が簡単に開封でき、非常時にすぐ使える水
- 保存期限が長く、衛生面でも安心できる水
- 公式サイトなどが整備されており、信頼性の高い水
水の確保は、災害が起きてからではとても困難です。いざというときのために、上記条件を満たすお水を常備しておきましょう。
防災備蓄水の安全な保管方法と注意点
防災備蓄水は、災害時に飲料水として利用されるため、適切に保管することが大切です。まず、常備水を保管するための適切な場所を選び、衛生面を考慮して賞味期限や消費期限を管理しましょう。また、ペットボトルやウォーターサーバーに適した商品を選ぶことで、長期保管が可能になります。
直射日光や高温多湿を避け、涼しい場所で保管する
備蓄水は、直射日光や高温多湿な場所は避け、涼しい場所で保管しましょう。ペットボトルは温度変化に弱いため、保管する際は、必ず温度変化が少ない場所を選びましょう。また、地震や水害などの災害発生時に備蓄水が損傷しない場所に置くことも大切です。
次に、衛生面を考慮し、ペットボトルやウォーターサーバーを常に清潔に保つことも大事です。保管場所自体も定期的に掃除を行い、ゴミやホコリが溜まらないように管理しましょう。特に、段ボールで長期にわたって保管し続けている方は、ダンボールが害虫の発生源になることもあるため、掃除もこまめに行いましょう。
数カ所に分けて保管
災害が起きたとき1カ所にまとめて保管すると、建物の下敷きになって備蓄水が取り出せなかったり、破損して使用できないケースもあります。そのため、備蓄する際は家庭内の数カ所に分けてストックしておくこともリスク分散になります。その際も、直射日光を避けた場所に保管することがおすすめです。
賞味期限や消費期限を把握する
備蓄水の賞味期限や消費期限は、品質や安全面を確保するために大切なポイントです。ペットボトルやウォーターサーバーの水は、一般的には賞味期限が1年~数年となっていますが、製品によって異なるため、購入時に賞味期限や消費期限を確認し記録しておきましょう。
また、定期的に期限をチェックし、期限が迫っているものから優先的に消費するようにしましょう。この際、多めに蓄えた備蓄水を日常で消費し飲んだ分を買い足すローリングストック方式もおすすめです。ストックしている防災アイテム全般に活用できるこの方式は、保存期間切れを防ぎ、常にフレッシュな備蓄品にできるメリットもあります。万が一、保存期間が過ぎてしまった備蓄水でもすぐ破棄するのではなく、生活用水の備蓄水としてトイレ洗浄やお掃除、洗濯などに活用しましょう。
大切なペットを守る!ペット用備蓄水
大切な家族であるペットにとっても、飲料水は必要です。災害時は、ペット用の支援物資がなかなか届かないケースも発生しているため、ご自身の大切なペットを守るために、ペット用備蓄水も確保しましょう。
ペット用備蓄水の種類
人間が飲むミネラルウォーターではペットが体調を崩してしまう可能性もあるため、
・無菌のミネラルウォーター
・ミネラルの含有量が少ないタイプ
・硬度0の保存水
・ペット専用のボトルウォーター
など、ペットに適したお水を備蓄しておきましょう。
必要なペット用備蓄水量
次に、ペットの体の大きさや種類に応じた量を確保しましょう。例えば、大型犬は1日に約2Lの水が必要ですが、小型犬や猫ではそれより少なく済みます。おおよその目安として、ワンちゃんは体重1キロあたり1日100ML、ネコちゃんはその50MLのお水が必要と言われています。人間と同じように3日〜7日分を目安に、ペット用備蓄水も確保しましょう。保管の際は、ペット用の備蓄水とご自身の備蓄水の区別がつくように、明確に分けてストックしましょう。
災害時に役立つ防災アイテム
ここでは、災害時に必ず持っておくべき&持っておくと役立つ防災アイテムをご紹介します。水の確保に役立つアイテムもご紹介しているので、防災グッズの参考にしてみてください。
1.給水用ポリタンク
給水用ポリタンクは大量の水を確保・運搬できるため、災害時に非常に役立ちます。また、複数の家族や近隣住民と水を共有する場合にも重宝されるアイテムです。折りたためるウォーターバックタイプなど場所を取らないタイプもあるので、家庭に1つは常備しておきましょう。
2.携帯型ろ過器
携帯型のろ過器を使用すれば、川や湖などの水を飲料水にすることが可能です。災害時に水道が使えなくなった場合でも安心です。アウトドア用としても使えて1万円〜と価格もお手頃なので、持っておくと役立つでしょう。
3. 防災用マップ
防災用マップには避難所や給水スポットが表示されており、災害時に安全な場所への移動やどこで水が確保できるのかを知ることができます。災害時は携帯が使用できないことも多いので、普段から自宅から近い給水スポットなどを把握し、災害に備えましょう。
4. 電気を使わない調理器具
災害時にはライフラインが止まり電気が使えないことも…。停電の際は、電気を使わない簡易調理器具が役立ちます。火を使わずに温めることができる炊飯器やアウトドア用カセットコンロなどを用意しておきましょう。
5. 災害用保存食
水を使わずに食べられる常食や水を加えるだけで食べられる非常食も、ストックしておくと便利です。普段から食べ慣れておくことで、いざという時に慌てず対処できるようになります。
近年、さまざまな種類の災害用保存食が発売されているので、購入して家族で食べてみるなど、日常から防災への意識を高める取り組みを行うことで、災害時にも落ち着いた対処ができるでしょう。
6.断水時でも使える簡易トイレや衛生グッズ
断水時にも使える簡易トイレや衛生グッズは、災害時の生活に欠かせません。まず、簡易トイレは水がなくても使用可能なため、断水時に非常に役立ちます。使用後には専用の袋に入れて処理することができるため衛生的です。
また、除菌ウェットティッシュは、洗面所で手を洗う代わりに利用することで水の節約ができます。簡易的に身体を拭いたり食器の拭き取りにも使えるため、幅広く活用できておすすめです。ドライシャンプーやスポンジは、水を使わずに髪や身体を綺麗に保つことができ、断水時に重宝します。
これらの簡易トイレや衛生グッズを用意しておくことで、断水時でも衛生面を維持し、快適な生活を送ることもできます。万一の災害時に備えて、ぜひ準備しておきましょう。
まとめ:防災備蓄水と日常生活の取り組みで安心な未来へ
防災備蓄水を確保しておくことは、私たちが災害時に安心して過ごすためにとても大切な防災対策です。ご家庭の環境や条件に合わせて適切な備蓄水の購入・管理を行い、災害に備えましょう。また、日頃から家族で防災に関する話し合いや情報収集を行うことが、安心な未来を築くことにもつながります。この記事を参考にして、ご家族の安全のため、積極的に防災対策に取り組みましょう。
災害時、個人・企業どちらの目線でも防災準備を進めることは可能です。個人と違い、企業が行う事業継続にあたり、防災備蓄についての情報は多岐にわたり事前の準備が重要です。企業防災の準備を進める際は、まず こちら (資料ダウンロードページ)をご利用ください。