乳幼児や妊娠中・産後の女性は、健康であっても災害時に特別な支援や配慮が必要になります。ここでは、赤ちゃんがいる家庭向けに乳児とママのための防災対策を解説します。災害時の慣れない環境でも赤ちゃんが安心して過ごせるように、普段から乳児の防災対策を意識し、災害が起きた場合に備えましょう。
赤ちゃんがいる家庭の防災対策とは?
赤ちゃんがいる家庭の防災対策は、特別な配慮が必要です。大人や就学児と違い、まだまだ自身でできることが限られる赤ちゃんや幼い子どもたちに合わせて、家庭毎に防災対策を行う必要があります。また、妊娠中や産後の女性(特に産褥期)は、身体的・精神的にも特別な配慮が必要な状態にあります。
このような家庭の場合は、日頃から緊急時に備えて計画的に準備を進め、定期的に災害備蓄品の見直しを行いましょう。また、子どもの成長に合わせて用意すべき備蓄品も変わっていくので、必要に応じて補充や更新を忘れずに行いましょう。
赤ちゃんと共に避難する際の安全対策
災害時に赤ちゃんと共に避難する際は、適切な安全対策を整えることが大切です。具体的な対策は、
・家族の防災グッズの準備
・赤ちゃんの必要なアイテムの確認と備蓄
・避難経路の確保
・避難場所のリサーチ
・家具の固定
・家族との連絡手段の確認
などが挙げられます。
まずは、地震などの自然災害に備えて、家族それぞれの防災グッズを揃えましょう。次に、赤ちゃんが必要とする用品(ミルクやおむつ、おしりふきなど)を確認し、適切な量を用意します。そして、避難場所の場所やルートを事前に調べておくことで、いざという時に迷わず避難ができるようになります。特に、赤ちゃんや小さいお子さんの場合は、ベビーカー抱っこ紐で避難ができるルートを確保しておくことが重要です。これらの安全対策を踏まえ、赤ちゃんとの避難生活を安心して過ごせるように準備しましょう。
日頃から災害時のシミュレーションを
防災対策というと、災害時の備蓄品を用意することに目が行きがちですが、普段から地域の避難訓練や防災イベントに積極的に参加することもおすすめです。特に、乳幼児のいる家庭では「災害を想定したシミュレーション」が重要な意味を持ちます。子どもは親の思い通りに行動してくれなかったり、想定外のことが起きることが多々あります。
避難訓練などに積極的に参加することで、防災に関する学びや気づきがあったり、防災のプロに疑問を直接聞く機会があったりと、貴重な経験を得られます。防災備蓄と併せて、災害時のシミュレーションも定期的に行うようにすると良いでしょう。
赤ちゃんが必要な防災グッズ
赤ちゃんがいる家庭での防災グッズは、赤ちゃんの年齢や健康状態に合わせた特別な準備が必要です。赤ちゃんの基本バッグには、以下の防災グッズを含めましょう。また、防災グッズはできれば3日分、最低でも1日分は備蓄しましょう。
基本の防災グッズリスト
- 水(飲料水と生活用)
- 保存食
- 防災ずきん、防災用ヘルメット
- 携帯トイレ
- 着替え
- 防寒具
- タオル類
- ブランケット
- 懐中電灯
- スマホの充電器(バッテリータイプ)
- 使い捨てカイロ
- マスク
- 消毒用アルコール
赤ちゃんがいる家庭の防災グッズリスト
- ミルク(液体ミルク推奨、粉ミルクの場合は調乳用の水も用意)
- オムツ・おしりふき
- 防臭袋
- 哺乳瓶、消毒用品
- 離乳食
- 簡易カトラリー(スプーン・紙コップ、紙皿など)
- ラップ
- 母子手帳
- 健康保険証
- タオル、ガーゼ
- おもちゃ
- 抱っこ紐
マタニティ・産後ママがいる家庭の防災グッズリスト
- 生理用ナプキン
- 母乳パッド
- 授乳ケープ
ここで紹介したアイテムはあくまでも赤ちゃんとママが避難生活する上で必要なものをリストアップしました。各家庭での状況を踏まえて、プラスアルファで家族が必要なアイテムを備蓄しておきましょう。
赤ちゃん防災グッズの選び方
非常時には赤ちゃんをケアする防災グッズが必要です。まず、先述した防災グッズリストで必要な用品を把握して、いざという時に備えましょう。また、災害時には通常使用しているものとは異なる選択が必要になることもあります。例えば、ミルクや哺乳瓶、おむつや離乳食など、赤ちゃんが被災時でも問題なく使えるかどうか、事前に試しておくと安心です。
調乳不要な液体ミルクや使い捨て哺乳瓶を選ぶ
災害時には、水や電気が使えない場合も考えられます。そのため、調乳不要のミルクと哺乳瓶のセットを用意しておくと良いでしょう。特に、常温でそのまま赤ちゃんに与えられる液体ミルクは、いつでも手軽にミルクを哺乳瓶に入れて授乳できるので、赤ちゃんもママも安心です。液体ミルクを選ぶ際は、保存期間が長く赤ちゃんの成長に合わせた栄養バランスが整ったものを選びましょう。
哺乳瓶は、使い捨てタイプや液体ミルクにアタッチメントをつけるだけで乳首がつけられるタイプなど、消毒が不要なものも市販されています。災害時はライフラインが止まってしまうことも想定されるので、できるだけ手間のかからないアイテムを選ぶことがおすすめです。
おむつとおしりふき
おむつとおしりふきは、非常時でも必須アイテムです。おむつは通常よりも多めに用意しておき、サイズも成長に合わせて数種類用意しておくと便利です。おしりふきは、通常使用するものよりはやや厚めのものを選ぶと、ウェットティッシュ代わりになったり家族が一緒に使ったり何かと役立ちます。また、オムツを捨てる際に必要な防臭袋も忘れずに準備しましょう。
赤ちゃんとの避難生活
災害が起きた場合、支援物資が届くまでに自身の備えで避難生活送る必要があります。インフラが止まってしまった場合、水道やガス、電気が使えないため、お風呂などにも入れず洗濯やトイレにも手間がかかり、衛生面の悪化が懸念されます。その場合、避難所に行くのか在宅避難にするのかを検討することも必要です。
在宅避難の条件
在宅避難とは、災害時に自宅で避難生活を送ることです。これは、自宅が安全である場合や、避難所に行くよりも自宅に留まる方が安全で快適と判断される状況で可能となります。在宅避難の際は、以下のような条件を満たしている必要があります。
・安全が確保できている
・避難生活に必要な備蓄品が自宅に確保されている
・家具が固定され部屋が安全である
被災した際には、状況に応じて指定避難所に速やかに避難することはもちろんですが、避難生活が長く続く場合、赤ちゃんや小さいお子さんがいると、たくさんの人が集団生活する避難所は育児には難しい環境です。メリットデメリットを把握した上で、在宅避難も選択肢に入れられるように準備しておきましょう。
在宅避難のメリット・デメリット
大規模な災害が発生した際に避難所が過密になることを避けるため、または持病がある人や小さなお子さん、高齢者がいる家庭では、在宅避難が推奨されることがあります。
メリットは、
・住み慣れた環境で避難生活ができる
・自分で選んだ備蓄品が利用できる
・感染症のリスク低減される
デメリットは、
・支給物資や救助活動など、最新情報が入手しづらい
・避難所生活の方と比べると、支援物資(食料や生活用品)の調達が遅れる
・地域のコミュニケーション不足が起きることも
などが挙げられます。
自宅で過ごすことで家族が安心しやすく、ストレスが軽減されたり自宅に備蓄してある食料や水・日用品をそのまま利用できるため、普段と変わらない育児ができることもメリットといえます。また、避難所での集団生活を避けることで、体調を崩しやすい赤ちゃんの感染症リスクを減らすことができます。デメリットも考慮し、どういった避難生活を送ることが良いのか適切に判断しましょう。
赤ちゃんと避難する際に気をつけたいこと
非常時には、赤ちゃんのストレスも気になるところ…。お気に入りのおもちゃやぬいぐるみを持っていくことで、避難生活中でも赤ちゃんに安心感を与えることができます。また、安全な場所で過ごす時間を確保し、子どもと一緒に遊んだり、抱っこしたりすることも大切です。親子の絆を深めることができれば、赤ちゃんも安心して過ごせるでしょう。
避難所でも遊べるおもちゃを用意
避難所の赤ちゃんが安心して遊べる持ち出し用のおもちゃは、小さくて軽量で持ち運びが容易なものがおすすめです。例えば、ふわふわしたガーゼタオルやカラフルな柄の布製絵本、ぬいぐるみなどは、赤ちゃんが安全に遊べると同時にママの負担も軽減します。また、音が出たり光るおもちゃは、赤ちゃんを楽しませるだけでなく、知育効果も期待できます。
避難所で使用する際は、他の利用者の迷惑にならないおもちゃを選ぶことも大切です。避難所でも赤ちゃんが快適な時間を過ごすことができるように、おもちゃも持ち出しリストに追加しましょう。
安心感を高めるお気に入りのアイテム
おもちゃ以外にも、哺乳瓶や粉ミルク、おむつなどの日常的に使用している生活用品も、赤ちゃんの安心感を高めるアイテムです。また、お気に入りの歌を覚えておくことで、声で安心感を与えられます。避難所での生活に不安を感じる赤ちゃんに寄り添い、お気に入りのアイテムで安心感を与えてあげましょう。
ママもリラックスタイムを
赤ちゃんだけでなく、ママもできるだけリラックスタイムを持つようにしましょう。授乳中のママは、環境の変化などで母乳が出にくくなることも。パパや家族のサポートを受けながら、赤ちゃんと一緒に休めるときは休み、心身の安定を保てるようにしましょう。
まとめ:赤ちゃんの安全と安心を守る防災対策を
災害はいつ起きるかわかりません。普段から防災対策を行い必要なものを備蓄しておくことで、赤ちゃんがいる家庭でも安心した避難生活を送ることができます。備蓄品は定期的に期限やアイテムを見直し、その時々で必要なものを備えましょう。期限が切れそうなアイテムは、日常で使い切り補充するローリングストックを実践すれば、より無駄なく安心して過ごせます。災害時でも安心して過ごせるよう、万全の準備をして災害に備えましょう。
従業員の皆様の様々なニーズを把握し応えることができるかの検討をすることは、今後の事業継続性を考える上で大切なことと言えます。Laspyでは【赤ちゃんの防災対策に関する実態調査】も実施しています。
是非ご参考にしていただければと思います。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000092071.html